August 9, 2010

これでいいのだ

公共広告機構(AC)のCMが最近増えていて、どうしたわけかしら、と思う今日この頃。
テレビの広告費が下がったのか、公共広告機構が頑張っているのか、参加企業が増えたのか、制作費か何かボランティア的な何かが起こっているのか、は知らない。

印象的なCMがいくつもあるなあと思うのだけれど。
子供が黒い絵描いてるやつとか、ぱなしのやつとか、コトバダイブのやつとか。

使い古された言葉っていうのがあって、私は多分特にそうなのだけど、そういうものをスルーしてしまう。どんなに大事なことでも。漠然とした言葉というのは、具体的に何々をしなさいとか何々はどこでどうなっているとかいう言葉より、届きにくい。
で、そういうのって言葉として損だなあというか、大事なことを言っているのに届かないのってもどかしいなあと思っていた。
友達を大切に、とか、あらゆることに感謝しなさい、とか、そういうことってもう何度も耳タコで聞いていて、今更新しいことも何もありやしない。だから、そんな言葉を使うより、もっとピリッとした新しい言葉を、聞いた人の耳に引っかかる言葉を、使ったほうがいいなと思っていた。塾の先生をやっていて思うこともそうで、子どもたちっていうのはそういった類の言葉をいやというほど聞かされているのである。


それで、まあACの話に戻るけれど。

「これで、いいのだ」

っていうのがあるじゃないですか。赤塚先生の。バカボンのパパの。
女子高生が何か悩み事なのか、ぼんやりしていて、そしたら「その言葉をつぶやいてごらん」っていうナレーションが入る、やつ。
あれ私好きなんです。雰囲気も、映像も、音楽も含めて。なんか、きれいごとっぽくなくて。(きれいごとを否定するのも好きじゃないんだけど、きれいごとすぎるというのもやっぱりあって。)

それで、単純に、あ、いいCMだな、って思っていた。

でも、言葉は私に完全には届いていなかった。なんだろうな、言葉にも自分の心のコアの部分に刺さるようなのもあれば、脳にやっとさわるようなのもあるし、届いている場所も距離も違うというイメージがある。
それで、この言葉は、脳に届いていたけれど、心には届いていなかった。そうだね、あなたはあなたのままでいいのだ、と思っていた。その誰にともなく、もしくはその女子高生に向かって。

で、さっき、急に、この言葉を思い出したのだった。
幼ない頃から歌に乗って口ずさんだフレーズ。西からのぼったお日様が、とか、ウナギいぬとか、よくわからないながらに楽しくて、「これで、いいのだー♪これで、いいのだー♪ボンボンバカボンバカボンボン♪」って。これを歌うと元気になった。

それで、
ずっと昔から聞きなれていて、今になってその大事さに気づいて、それでもまだコアまで届かなくて、今やっと届いてぎゅっとなった、
と思った。

すごく大事なことを、なんでもないことのように多くの子供に口ずさませておいて、その子達は大事なことなんて知らずに何年も何年も忘れていて、大人になったときに、こんな風に気づくようにするなんて、なんて人!

で、この言葉が何より必要なのは、私だった。あの女子高生は、私だった(比喩とはいえすみません)。
今更気づいたんだ。



※参考(某tube)
「これでいいのだ」
「黒い絵」
「ぱなしのうた」
「コトバダイブ」

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