August 15, 2010

天使について

天使のことを、この前のラジオで言っていた。
聞き逃したのは私のミスである。

天使のような子、というのは江國香織作品でもよく出てくる。
「育ちゃんは本当に天使みたい」「そうね」
「しま子は天使みたいにいい子なのに」

天使について、私は知らない。天の使いだということしか。
夢なら見たことがある。おばあちゃんの家にいたら、いつも腰掛けて外を見ていた窓から、天使が降りてきたのだ。小さい子供の天使で、可愛らしい子で、綺麗な白い羽を持っていた。言葉は話せなかったのだった。人目で天使とわかった。光り輝いていたから。

私は、そのとき丁度お米を砥ぐことを言いつけられていて、お米を砥ごうとしていた。彼彼女(性別はわからなかった)は、それをそっと手伝ってくれる、私の砥ぎ方。
私は、お米を砥ぐとき水を浸して、砂遊びの棒倒しの要領で周りのお米をサーっと両手で手前へもってきて上方で手の中でもみ洗いする。手をすりあわせるように。洗われたお米は中央に落ちる。後はくり返しである。周りのお米を両手で集めて持ってくる。上方へ持ってもみ洗いしてぱらぱら落とす。循環して全体的にもみ洗いできるようになる。
天使はこのやり方ににこりと笑って頷き、それをわたしの真向かいに来て、手伝ってくれた。私が集めてもみ洗いしている時に天使がこぼれ落ちたお米を拾いながら同じように周りをさーっとなぜるようにしてお米を集めて、もみ洗う。

幼いながらに、ああ、このお米の砥ぎ方はこれでよかったんだなあ。って思った。


天使の記憶はそれだけだ。
ただ、天使をもし見たら、きっとわかるだろうなと思う。

私は、天使みたいな、という言い方をしたことがない。
どのようなものが天使みたいなのかを知らないからだし、天使を知らないのである。

神様はどんなお方だと伝えられるけれども、天使についてはあまり語られない。3大天使というのがいるらしく、それはガブリエルとか、ミカエルとか、ラファエルとか、である。タートルズはここから来ているとかいないとか。
天使はどんな方なのだろう。
天使のようなってどういう意味?

見た目の美しさだろうか。
天使のような可愛い子。
僕の目の前に天使が舞い降りた。
ノースリーブから出た白い腕はまるで舞い降りた天使。

心根?
天使のように優しい子。
天使のように正直な子。

ここでいう天使はきっと女の子や子どもなのだろう。天使のようなおじさん、は聞いたことが無い(勿論いると思う)。


人間の天使性というのは、人間の悪魔性と対になるものなのだろうか。

天使っていうのは、読んだとおり「天の使い」である。
だから、神様が人間をつかわした場合でも(その人間が意識的にしろ無意識的にしろ)、その人はその時あなたの天使だったんだね、なんてことを言ったりする。うちだけかもしれないけど。
母曰く、最近私の天使だったのは、さささ君だそうである。さささ君というのは院の同期で、そこそこ仲はよかったが少し喧嘩ごしのこともあって、一個上だからと敬語を使わないことにこだわっていた律儀な感じの男の子であった。さささ君は挙動がさささとしているのでさささ君なのである。意外と音楽の好みは合った。Sigur Rosを教えてくれたのは彼である。
彼はなんだかんだと心配性というかよく世話を焼いてくれたので、善良なさささ君は司法試験の受験の出願の際やる気が無くてまだ出していなかった私をなかなか強引に郵便局まで連れて行き、「絶対ちゃんと出した方がいいよ」「書留はこうやるんだよ」と懇切丁寧に教えてくれた。やる気が無い私はつい「えー」とか「いいよ今度やるよ」など言ってしまったのだけど、悪いことをした。
三年次に憲法のレポートを出さなきゃ単位が危なくて卒業も危うくなるみたいな状況のとき(私は体調を崩していて沖縄に帰っており、授業に全く出ていなかった)、メールで送ったレポートに表紙をつけて出しておいてくれたのもさささ君であった。
その様子を見ていて母が、天使だと言ったのである。
うむ、そうだったかもしれん。ことあるごとに助けてくれた。しかもそこに一切の恋愛感情や打算なども無く。いいひとだった。感謝している。

誰かの天使になれたらいいなと思う。偶然でも、なんでも。

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