September 7, 2009

自戒

最近インプットが足りないと、ある友人が書いていた。

それを読んだ時には、そうなのか、としか思わなかったのだけど、私自身インプットがものすごく減っているということに後で思い至った。これは、彼の言っている意味でのインプットとはもしかすると違っているのかもしれない。私と彼のステージは違うのだ。

インプットが足りないことは知ってはいたのだけど、自分のことに引き寄せて考えるということを怠っている、半分意識的に。
ここ最近は、よりストレスフリーな生活を心がけ、思考停止の練習をしていた。思考停止なんて、意識してできるのかしらと思っていたけど、全然できる。人間の頭は、怠惰になろうと思えばどこまでも怠惰になれる。周りが怠惰であれば尚更に、なれると思う。逆に、勤勉になろうとすれば、これもなれると思う。

インプットが無ければ、アウトプットは無い。
同じものを同じように量産していればいいという世界ではもはやない、どの分野でも。
吸収、成長、進化。
反応反射音速光速。

気づけ。反応しろ。先を読め。光の速さで。

私がここで言う、インプットが足りないというのは、情報に触れていないということ。気づきを得ないということ。アンテナを張らないことである。

私に関して言えば、アンテナが敏感になるのは、危機感がある時だと思う。ついていけなくなること、帰れなくなること、寂しいこと、競争に敗れること、見限られること、そういった不安や焦りというネガティブなもの。それが衝動になって私に日経新聞やらダイヤモンドやらを読ませていたし、早く帰宅することを止めていた。

興味があるとか、好きだとか、そういうものもアンテナを敏感にすることはある。
けれど、それは一部のアンテナにしか働かない。
嗜好性選択、と、友人は言っていた。自分の好きなもの、嗜好性に従って集められた情報とかモノ、それに偏ってしまうということ。それが悪いこととは言わないが、彼はそれに不信感を多分持っているし、私もそうである。自分の嗜好性への不信、自分の選択に対する不信。

今の状態というのはそれで、好きなものだけを観て、読んで、暮らしている。それは全然ストレスもないし、しなければならない、などという意識はない。
でもそれでいいと思っているかというと、不安が、ある瞬間に押し寄せるのである。
このままでいいはずはない。いつしか話がわからなくなっているに違いない。自分の中の何かが欠落したままに取り戻せないような事態になるのではなかろうか。ある種の閉じた世界にしか生きられなくなっていないか。他者を排斥する人間になりはしないか。卑屈になってはいないか。何かが起きた時に対応できないのではないか。

ただ、これは私が少し前に陥っていた強迫観念にも似た焦りとニアリーイコールである。

そんなに強くいつも思っているわけではないが、それでも友人の言うところの「ランダム性」みたいなもの、それは私も必要だと思っている。ただ、彼のように、100万儲けたら10万は(一見不合理に)捨てるように使うとか、30日試験前に日があったら10日は(一見不合理に)無為に捨てるように過ごす、というような大胆なことはしたことがない。これを彼は供物にたとえているが、面白い行動だと思う。
私がする不合理な行動は、せいぜい全然情報も無いCDだとか本を買ってみる、というくらいのものだ。まあ、そんなのはよくあることだと思う。何故か買ってしまったものというのは、ある。

基本的には、私は、好きでもないものをあえて読んだり聴いたり観たりすることは無い、と思っている。
それで、私は無理して興味のない本を読んだり、興味のない音楽を聴いたり、興味のない映画を観たりはしない。もしするとすれば、それが「必要」だからするのである。
これが基本のスタンスである。

問題は、「それが必要かどうか」という範囲が、ともすれば広がりすぎるということである。
あれもこれもになるのである。そして、その必要度も過剰に上に設定しすぎるのである。これを、注意しなければならない。
mustなのか、betterなのか、どうでもよいのか。それもその時々で変わってしまうことも頭に置いて。
落ち着いて胸の内を探してみるのである。これを今することにしっくりくるかどうか。私には直感とか運とかそういう類の能力(くじ運とか霊感とか)はほとんど備わっていないと思うのだが、しっくりくる、というのは結構に大事だと思う。何より、根拠が無いっていうところがいい。


その必要であるから読む、と判断して読んだ範囲のものが、いつしか、好きだから読んでいる、に転化していることがある。これはある意味幸福なことだけど、それが本当にそうなのか、ということを吟味した方がいい。自分を騙していることがある。


そんな感じで、そろそろまた思考停止をやめる練習をしてみむとす。
友人に会いたい。

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