October 27, 2009

手紙/沈まぬ太陽

これはちょっと今書かなければならないので、書いておく。

数日前から、苦しい。重苦しい。

妹二人の抱える問題のことが大きいが、重なって東野圭吾の「手紙」を読んでしまったことと、映画「沈まぬ太陽」を見てしまったことによる大きな衝撃及び突きつけられた生き方への疑問的なものによって、大きなダメージを被ったからである。

妹たちの件に関しては、その周囲の悪意ある人間たちに腹が立っていて。これは私が腹を立てても仕方のないことなので、解決法を一緒に模索することや感情を共有してあげることを主にしている。しかし彼女らは我慢する。私だったら何か投げつけていると思う。

で、「手紙」。
これはメディアマーカーとmixiでレビュー書いたが、いい意味で重い。苦しいけど、よかった。表現に凝る作家というのは、表現がその本質であったりするので、先を急いでしまうことがない。しかし表現でなくストーリーで読ませる作家というか、ドラマ性のある作品は、話の筋が気になってつい情景の描写を読み飛ばしてインパクトある単語や台詞を拾っていってしまい、フォトリーディングっぽくなってしまうことがある。この作品はその手のものだった。

少しずつ読んでいくごとに心が重苦しくなる。テーマを外れることなくずっと目の前に描き出している。最後の直樹の兄への呼びかけは、心の芯に問いを投げかける。私は、このまま終わらせてはいけないと直感する。

罪と罰である。
家族である。
社会である。
私はこれらを一旦総括して、どういう生き方をするか決めねばならないと思っている。これは今まで実は眼前にありながら咀嚼できず、見ないふりをしていたものであって、しかし恐らくは自分のコアに関わる、自分を突き動かすものに関わる話だと感じる。もしかしたら自分の中にはもう答えがあるかもしれない。それを見つけ出して意識しようと思う。
中学生や高校生の頃はできなかった。大学でも院でもできなかった。けど今なら結論を出すことができるはずだ、となんとなく思う。


「沈まぬ太陽」もまた、私にとっては衝撃だった。
私はこういういわゆる「熱い」映画については、まずは製作者たちの思いを受けとめることにしている。伝えたいことがある、と感じるものについては。
渾身の一撃を食らった感じである。

そしていろいろなものとタイミングよくリンクしたというのもある。
作品中には、日航機墜落事故が出てくる。クライマーズ・ハイ。「沈まぬ太陽」の作者もまた新聞記者であったことは興味深い。そしてその山崎豊子は「白い巨塔」の作者であり、構図としては二人の男のそれぞれに違う道を歩む様が、里見と財前と重なる。
労組側に偏った作品との見方もあろうが、事実懲罰人事や事故は起こっているし、まあそれは日航が悪いとか労組が悪いとかはあんまり関係ないことの方が私が考えたいことなので措く。

そしてこれもまた、犠牲となるのは家族である。「手紙」。家族を守るために、全てを捨てるべきなのか(妹曰くアメリカではそれが最も理想的な男のあり方なのだとか)、そうではなく家族を犠牲にしてでも信念を貫いたり、同志を裏切らないのがあるべき姿なのか(日本はどちらかというとこっちが理想とされがちに思う)。

これに加えて、会社とは何なのか、少し前に書いた、働くとはどういうことなのかということ。
やはり、父親と重なる。

俳優陣もいい。香川照之の役が凄絶である。
3時間半の長丁場だが、お薦めしたい。途中10分休憩がある。

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