July 19, 2012

最近の読書事情

最近読んだ本は、既にツイート済だけれど、三浦しをん「舟を編む」と、誰だったか忘れたけど「彼女は存在しない」。
前者は良くて、後者はそうでもなかった。
まあ、好感度の問題だ。
私は筋ばかりを追って表現を雑にする作家が好きではない。言葉に対する敬意を払わずして作家を名乗るとかまじ。
そういう意味で基本がしっかりしていて、その上にちゃんとしたストーリーが乗っていて、というのであればとてもいい。そうした意味で「舟を編む」は優等生的作品であった。そうだな、優等生的だ。とてもバランスの良く、丁寧で愛に満ちた(時にギーク気味に)小説。
他に、元新聞記者のやつ、横山秀夫とか山崎豊子とかはものすごく文章がしっかりしていて無駄がない上にストーリーがダイナミックでドラマティックでリアルだと思う。色気には少し欠けるし無粋なところもあるかもしれないけれど、単純にぐいぐい読ませる手腕というのはすごい。
所謂明治大正昭和の、刹那的でとんがっていて折れそうでウェットな文学とは全然違う。
時代は変わったのだなと思う。
何故今ウェットな小説家が出てこないのか不思議だ。高等遊民がいなくなり一億層中流、バブル崩壊後の口に糊するのでやっと、な時代にウェットに小説を書いているようなメンタリティでは皆なくなったからかもしれぬ。
今思ったけど、ウェットって言葉便利だな。

私は芥川賞とか直木賞はほとんど読まない。読めばいいのに、と今回思った。ただ、私はまだいわゆる文学作品をまだ全然読んでいないから、どうしても最近のは後回しになるだけのことなのだ、多分。いや確かに、少なからず、見知らぬ馬の骨的小説にハードカバーの代金を払う気になれなかったのは確かだ。
 でもまだ芥川を読んでいない。漱石を、賢治を、安吾を、春樹を、まだまだたくさん、読んでいない。

で、最近私は、坂本慎太郎に小説が書けたなら、芥川の域に手が届くんじゃないかと密かに思っている。

次何読もうかしら。