October 29, 2013

Taipei1310

社員旅行で台北に行った。

海外に出るのははじめてで、それまで石橋を叩き過ぎるきらいのある私はあえて自発的に外へ行こうともせずドメスティックに引きこもって過ごしていたわけだけど、母が亡くなってから、私の何かがちょっと変わったようで、行ってみようという気になったのだった。
行き先である台湾は母が行ったことのある唯一の海外でもあった。
とはいえ母が行ったのは結婚前だから、30年以上前の話になる。その頃の台湾とはまず違うとは思うけれど、なんとなく、この空気感を母も若い日に感じたのだと思う。

空港についてすぐに雰囲気が違っていて、窓から見えるのは煤けた西洋風とも東洋風ともいえない混沌とした建物たち。
同じアジアとはいえ明らかに顔立ちや表情や仕草が違う。日本人って一人で歩いてるだけでも愛想いいんだなと思う。

千と千尋の神隠しは宮崎アニメの中で一番好きなので、そのモデルになった九份と、あとはその地域のARTな場所には行ってみたかった。雑貨とかも見たい。というプランの練り方そのものが京都観光とまったく同じ。

というわけで、台北現代美術館。
超傳波-王福瑞聲音藝術展 HYPER TRANSMISSION
目当てで行った。ライブ映像も流れていたけど、ソフトな渋谷慶一郎というか、まあ見た目っていうかアー写的なものが似てるのもあるんだけど、一応音響系アーティストの王福瑞さんの展示。ちゃんと物理的なモノも作っている。うーん、真鍋大度的な感じだろうか。でもレーベルみたいなのもやってるぽい。
企画展もう一個はドイツ人の新進気鋭アーティスト展的な。ドイツ人かよ、と。でもいわゆるわけわかめな展示が心地よかったです。

そのあと、華山1914文創園区
日本統治時代の酒造所をリニューアル的な場所で、お洒落な若者とか子供連れとかで賑わっている。グッズや書籍を売っているブースには春樹の「色彩を持たない多崎つくる」の翻訳版とか、奈良美智とか、村上隆とか、吉田修一とか、日本のアート&文学シーンの影響がもろ、という感じ。ちなみに多崎つくるはこの後行った誠品信義書店というでかい本屋のランキングで1位だった。
グッズも半分くらい日本で見るやつ。ただし、日本のアートショップには必ず置いてあるひびのこづえハンカチは無かった。あれこつこつ買ってるんですわたし。
そこで出会ったひとたち↓



全体でのディナーの後の時間に、誠品信義書店
ビル全体がこの書店だけど、ショッピングもレストランも雑貨もある、複合施設。
台湾のお洒落な若者はでかい黒縁メガネをかけている。
ほぼ日手帳売ってる。LOFT並にコーナーある。


台湾に慣れた頃に一人でざくざく歩いてみたのだけど、久々に東京に出た時みたいな、ストレンジャー感とか、自分が物理的質量として一人分の人間として歩いているということをひりひりと感じるような感じがした。
でも何よりも、自分がこの国では完全にアウェー側の人間で、日本人というラベルが貼られているのだということが面白かった。し、それを意識する感じがとても概念的だと思った。
まあ台湾人に道聞かれたから思うほどラベルは目立っていなかったわけだけど、人から見れば台湾人にも見えるというのに自分自身ではラベルの存在を意識するっていう。

外国体験とは別に、台湾はいいところでした。
機会があればまた行きたいです。

October 16, 2013

笹井宏之とライゾマティクスと攻殻機動隊とあといろいろ

秋だからね、文章を書こうという気持ちになる。雑多にメモ。


最近、笹井宏之という人の「えーえんとくちから」という作品集(短歌である)を読んだ。
いくつかいいと思ったものを抜き出すと、

「この森で軍手を売って暮らしたい まちがえて図書館を建てたい」

「拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません」

「このケーキ、ベルリンの壁入ってる?(うんスポンジにすこし)にし?(うん)」

「胃の中でくだもの死んでしまったら、人ってときに墓なんですね」

という感じ。
1ページに1~2行しかない150ページくらいの詩集で、読み返すのにとてもいい。
詩的であることと日常は近いのかもしれないと思う。
今日のごはんはイデア的なマグマよ、とか。
そして詩的であることと文学的であることは近接しているとも思う。単純に詩に親和性のある文学が好きなだけかもしれない。「手乗りかいつぶり」や「帽子」が歩きまわったり言葉をつぶやく、くたびれた世界が。




あと、展示を見に行ったものとしては初台のICCでやっている話題のライゾマティクス展
Perfumeの演出でかなりフィーチャーされていて、ほとんどPerfumeファンが来ていたと思うけど、盛況のようでした。inoも書いてたけど、一応想像通りの感じです。
既にグローバルサイト見てたし。まあ、超かっこいいんですけどね。
ICCオープンスペースの方も最近行っていなかったので、今回はevalaさん(と鈴木昭男さん)の無響室展示。1人ずつ10分の体験型なので、整理券先にもらってご飯食べてから行く感じでした。
「大きな耳をもったキツネ」
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2013/Openspace2013/Works/Otocyon_megalotis_j.html
これは本当にいい。無響室という特殊空間で、本当にここでしか味わわない感覚。閉所恐怖症の人や音に過敏な人は難しいか。
こんなに音は立体なのか、こんなに音って気配があるのか、こんなに耳は繊細だったのか、と感じいる。
他の、オープンリールのテープが4つ、ただゆっくり落ちて積もるのを見ていると1つずつ止まり、4つ全てが止まった次の瞬間に4つが同時に高速で巻きとりはじめるそのとき、早回しの狂ったような交響曲が巻きとっているテープで再生されるというやつもよかった。
この段落リンクだらけだー


あとは遅ればせながら最近攻殻機動隊見てますね。
やっとSAC2のSSSまで観たところです。あとはイノセンスとARISEですか。
攻殻機動隊は最高だな、と定期的にTwitterでpostしています。タチコマ胸熱とかそういう。

あとよかったものと気になるやつ箇条書き。
・川内倫子
・abさんご
・エレグラ
・EMAF Tokyo 
・LEVEL3
・魅せよ!
・吉岡徳仁@MOT
・うさぎスマッシュ
・スマブラ
・テトリス



October 12, 2013

3 years old

また久しぶりのpost。
母のこととかを書いてしまったためにその記事を見るのがつらくて自分で書いたのに足が遠のいてしまう。

なんだか誰の人生もそうなのか知らないけど、いろいろある。

先日、互いに面識のない人同士を引き合わせるという自分にしてはめずらしいことをやった。大学時代は何の考えも無しに友達とファミレスだのラウンジだのにいるとき他の友達を呼んで引き合わせるとかよくやっていたのだけど、それは単に私が面倒くさがりだっただけで、友人コミュニティを一元化したかっただけなんだろうと思う。
で、僕らも分別もついて年を取り、むしろ引き合わせることのほうが面倒くさくなっている昨今なのになぜそんな企画にのったのかというとよくわからなくて、まあでも面倒くささより興味の方が勝ったということなんだろうと思う。
しかし割と好きな人同士を会わせるとなると、それなりに緊張もしたりして。
結果的にはとても楽しかったし、大いに飲み、喋り、笑っている2人を添え物的立ち位置でにやにや見ていたような気がする。へんな達成感。

その場で、3年という期間の話がでて、 学校の大体の区切りは3年で終わるのと似て、3年ってひとつの変わり目だよね、という話になって。その場ではそこから話が発展したわけではないけど、私にはなんだか小さく引っかかっていた。
いや本当に、今まで、自分の3年前は今と違う場所にいるんだよなと、もうさすがに30という而立の年を迎えたのに安定して苔を生やし始めてもいい頃なのにでも3年たつ間には違う場所にいるんだよなと、思う。
3年前は2010年10月で、ニシカワ君とかろうじて出会ってはいるものの沖縄住まいだし勿論今の職場を知りもしない。
その3年前は2007年10月でこれはコンサルの就活中だな。さすがに中野新橋のゲストハウスに住み続けるのもどうかと思っている頃。
その3年前は2004年10月で院に入った年、無為に学部時代の知識の貯金だけを食いつぶしていた頃。このあたりでネトウヨ的な人にひっかかったりしていた(結果的には自分の中の比較軸ができてよかったと思う)。
で、これから3年後の2016年10月に何をしているのか、私には本当に想像できない。

よく就活の時に、10年後何をしていると思いますか、何をしていたいですか、と対策本とかに書いてあったけど、これが本当に全くわからなくて、本気で想像つかないし想像しなきゃとも思わない。
それが1年後ならなんとなくリアリティ持って何かしら言えるのかもしれないけど、3年後すら私は未だに見えない。もしかしたら見たくないのかもしれない。真っ白にしておきたいのかもしれない。
AOHARU YOUTH。
君に足りないのは覚悟だ、と言われた日のことを渋い気持ちと一緒に思い出す。

さてどうしようかな。